フジモフは、聴覚障害を持っている障害者です。
外出してコンビニに行こうものなら、袋はいりますか?とか、お手拭きが、カードが、といろいろ聞かれるけれども、聞こえないことが多いために勘で答えることも多いんです。
同じようなことを聞かれるので何とかなることが多いのですが、たまに聞かれたことに気付かないで店員さんを困らせることがあります。
そんなときは、「すいません」と謝って慌てて聞き返したり、聞こえなくて何度も聞き返すことになったりで、後ろに人が並んでいたりすると気持ちがパニックになったりする。
「はぁ〜・・・店員さんに迷惑をかけてしまった」「他のお客さんだって待っているのに・・」「もっと、普通に聞こえたら良いのになぁ〜」って思ったりするんですね。
聴覚障害者なのだから、聞こえないことがあるのは仕方ないことなんです。
長い人生の中では、障害者にはよくある些細な事なのかもしれません。
けれども、これまであった辛いことや苦しいことが積み重なって「キツイなぁ〜」と感じてしまうこともあるんですね。
普通に聞こえて、病気もすることなく体も元気で、誰にも迷惑をかけない自分でいられたら、どんなにいいだろう。
普通に生きられたら、どんなに良いだろうと思ったりする。
どんなに願っても、人生にはどうしようもないことって、あるんだよね。
足掻いてみても、出来ないことだってあるんだ。
普通の生きかたってどんなものでしょう?
普通って何だろう?
僕たちは、世の中に生きている人一人ひとりの生活も違えば、特徴も違っていることを知っているのに、普通なものがあるような気がして不満に思ったりしますよね。
あの人はこうなのに私はダメだなと思ったり、ネットやテレビで言われていることと違うなと思たりして、皆と違うことやスタンダードじゃない自分にガッカリするんだ。
それは、容姿のことかもしれないし、健康のことかもしれないし、お金のことだったりするかもしれません。
そういう意味では、普通に生きたいっていうのは、誰から見ても平均でいたいということなのかもしれません。
理想とは違う自分の特徴や置かれた状況を、なかなか受け入れられないということかもしれません。
もしも、みんなと何もかもが同じだったのなら、何も悩むことはないかもしれない。
けれども、それって何だか面白くないよね。
人それぞれ興味を持つことが違うし、好きな人だって違うし、嫌いなやつだって違う。
運動ができる人もいれば苦手な人もいるし、人と交流するのが好きな人もいれば疲れるという人もいる。
個人個人にスポットを当てれば、世の中にいる人ってビックリするぐらい違います。
運動が得意で好きな人がいるからプロ競技が楽しめるのだし、読書が好きで文を書くのが好きな人がいるから面白い小説を読むことができる。
運動が苦手でも、好きな競技を見たり「あ〜でもない、こ〜でもない」と言うのが好きだという人がいるからプロ競技は成り立つのだし、自分で書きたいとは思わないけど本を読むのが好きだという人がいるから、作家だってご飯が食べていけるわけです。
一人ひとりが好きなことも得意なことも違うけれども、みんなで補い合いながら上手に生きているんだ。
あなたも、補い合いながら生きている人間の一人です。
理想とは違うかもしれない。
思っていたこととは違うかもしれない。
みんなとは違うかもしれない。
けれども、あなたがいてくれるおかげで、社会に貢献しているってことを忘れないで欲しいなと思うのです。
そして、もっと自分のことを見つめ直してください。
みんなと違うって、そんなに不幸なことなんでしょうか?
そもそも普通に生きたいというのは、おかしな話なのかもしれません。
普通に生きたいと願うということは、自分のことを普通じゃないと思っているということです。
今の私では、ダメだと思っているということなんですね。
もしも、それが容易には変えられないことだったらどうでしょう?
ずっとずっと、自分のことを否定し続けなくてはいけなくなりますよね。
それって苦しくないですか?
普通に生きるって、恥ずかしい思いをしたり、辛い思いをしたり、悔しいことが綺麗さっぱりなくなるということじゃないんです。
人それぞれ状況は違うけれども、生きていれば誰にでもあることです。
だから、そんなに自分のことを可哀想な人にして嫌いにならないであげてください。
これが、私なんだなって受け入れてあげて欲しいんです。
普通に生きるって、誰にも負けないようなスーパーマンになることじゃないんです。
うらやましいなと思う人と同じになることじゃないんです。
あなたが、あなたらしく生きて、これが私だって自信を持って言うことなんですよ。
自分のことを好きになるということなんです。
あなたの、良いところってなんだろう?
あなたの、いたらないところってなんだろう?
どちらも否定しないで受け入れてあげよう。
いたらないところがあったって良いんです。
人間なんだから、それがあたりまえなんですよ。
だから、良いところも、そうじゃないところも、OKを出していこう。
あなたは、あなたらしく生きたらいいんだ。